金しゃちビールで働く前、大型ビアレストランで店長として働いていた私Kは、これまでに何万杯以上、
500種類以上のクラフトビールを注いできました。その経験をこの場を借りてご紹介していくこのコーナー、、、
2回目の今回は、プロ定番のクラフトビールの注ぎ方「3度注ぎ」をご紹介致します♪
3度注ぎと検索して、ただ何となくサイトを見ながらこんな風に注いでませんか???
①、ビールをテーブルにおいて、勢いよくビールを注いで泡を作る。
②泡が落ち着いたら、グラスを持って傾け、ゆっくり注ぎ入れる
③仕上げに泡が7:3になるようにビールを注ぎきる。
ざっくり言えばこれで間違いではないですがただ漠然と3回注ぐだけでは非常に勿体ないんです!
3度注ぎは注ぎ方の細かな調整で大きく味わいが変化させることができる、難易度が高く、とても奥の深い
「プロの技」であると認識しています。
注ぐ高さや勢い、注ぎ込む位置などでも仕上がりを自分好みにアレンジできるこの技、習得するとハマること間違いになしです!
あくまで私の経験のお話ですので専門的な分析等はないのですが、かえってそれが感覚的に覚えやすいと思いますので
是非ご一読ください!
•3度注ぎ(三段注ぎ)ってなに?
・注ぎ方0ビールを静かに保管して落ち着かせておく、グラスを準備する。
・注ぎ方① 一度目はビールを閉じ込める蓋となる泡を作ろう。
①−1 ふんわり空気を含んだ泡を作る〜口当たりふんわりで香りも楽しめる〜
①−2 しっとりとした液体泡を作る〜シルキーでまろやかな口当たり〜
・注ぎ方② 二度目はビールの味わいを決めよう!
②–1 泡の脇からビールを流し込む 〜炭酸、苦味を生かした喉越し、切れのいいビールに仕上げる〜
②–2 泡の蓋の上にビールを流し込む 〜炭酸、苦味を抑えてモルト感を引き出す〜
・注ぎ方③ 3度目は最終調整!泡の量を7対3に仕上げながら好みの味わいに決める!
・番外編
〇見て美しい!ツルツルの泡を作る方法♪
•まとめ
3度注ぎ(三段注ぎ)とは文字通り、3回に分けて注ぐということですが、なぜ3回か?というと、実は3回でなくてもいいと思います。ですがあまりにも複数回に分けていてはビールが台無しになりかねません。「最低3回」、それ以上でもいいけど繊細なビールのことを思ってできる限り手際よく。
というのが私のイメージです。
3度注ぎはどんなビールにでも最適かというとそうでもなく、大手メーカーのビールジャンルなどは1度注ぎがおすすめだったりします。(私見です)
私の考える3度注ぎを簡単に説明すると
「1度目でビールを閉じもめる泡の蓋を作る」
「2度目でビールの香りや口当たりを作る」
「3度目で好みの味や最善の味に仕上げる」
という感じです。
では次項からは具体的な注ぎ方を説明していきますが、それぞれの工程でいくつかの注ぎ方をご紹介しながら進めていきたいと思います。
ビールを注ぐ際に、とても重要なのはグラスです。
いろいろなグラスの扱い方、準備方法があり、それらでも仕上がりが大きく変化します。
私は色々なビールレストランやビアパブで仕事をさせてもらいましたが、すべてのお店でグラスの準備方法が違いました。
そのことに関しては「ビールの居心地のいいグラスの準備」等と題してまたいつか違うページでご紹介するとして、
今回は最低限しっかりと洗浄してあることを前提とします。
●洗浄用のスポンンジは専用のものを作る●
洗浄についてですが、グラスを洗うスポンジは食器洗い用とは分けることを強くおすすめします。
ビールグラス用がベストですが、グラス専用でもいいと思います。
理由はビールの泡立ちなどはとても油分に弱く、食器洗い用スポンジで洗った油膜の張ってしまったグラスは天敵です。
さて、きれいなグラスが準備できたらさっそく1度目の注ぎ方について提案いたします。
ビールの泡は苦味の付与、ビールそのものの口当たりや香りを引き立てることができます。
それ以外にもとても重要なのが香味や炭酸を閉じ込める蓋としての要素も持ち合わせます。
①ー1 ふんわり空気を含んだ泡を作る〜口当たりふんわりで香りも楽しめる〜
こちらは難易度比較的低めです♪
泡の作り方一つ目は、空気をしっかり含ませながらふわふわした泡を作る注ぎ方です。
①きれいに洗浄したグラスをテーブルに置くか、手で持ってグラスとの高低差をつけます。
高めの位置からグラスの底めがけて「ジョボジョボ」と音を立てて、グラスの4分の3くらいまで注ぎます。
→この時点で多くが泡になります。
しばらく泡が液体に戻るのを待ちます。
→写真ぐらいの3分の2程度になったら②の2度目に移ります。
①–2 しっとりとした液体泡をつくろう! 〜シルキーでまろやかな口当たり〜
こちらは注ぐ際に微調整が必要なので難易度高めです!
その2は液体を含んだシルキーフォームの作り方です。
同じく綺麗に洗浄したグラスを手で持ち、45度くらいに傾けて、グラスの少し高い位置に瓶や缶を持ちます。
この状態から、グラスの真ん中程度側面にビールを少し勢いをつけて注ぎ込みます。そうするとグラスの底面角でビールが対流し、泡が少しづつ形成され徐々に増えていきます。※1
※真ん中の写真のビールが少し回転して見えるのが分かると思います。
→高さが高すぎたり、グラスの角度が鋭角過ぎると空気を多く含んだ泡になり、炭酸も飛ぶので優しく対流する程度にグラスの角度を調整するのがコツが要ります!
①-1の注ぎ方に比べると、泡の消えるのが早い傾向なので、2回目は早めに注ぎ始めます。
1回目で泡の蓋が決まったら、次はビールの液体を決めていきましょう!
2回目はビール部分の苦味の度合い、炭酸の強弱等を調整していきます。
②–1 泡の蓋の上にビールを流し込む 〜炭酸、苦味を抑えてモルト感を引き出す〜
さて、2度目の注ぎ方提案その1です。
炭酸、苦味を抑えてモルト感を引き出します。
グラスを真っ直ぐにして、ある程度高い位置から泡の中心に向かってビールを流し込みます。
泡にぶつかったビールは次々と泡になっていきますので、ゆっくり泡が増えすぎないように注いでいきます。
2回目=第2工程みたいなものですので、この注ぎ方ではあまりにも泡が増えるようなら一度注ぐのを止めて待ってもいいです。
左下の画像のように、グラス一杯になったら止めましょう。
高い位置から注ぐほど炭酸が穏やかになるイメージで、その分泡も増えやすいです。
→泡のフィルターをビールが通り抜けることで、苦味成分が泡のフィルターで留まり、液体部分は苦み穏やかになります。高さの調整で炭酸も少し弱まり、モルト感が増し、麦芽のキャラクターがわかりやすくなります。
②–2 泡の脇からビールを流し込む 〜炭酸、苦味を生かした喉越し、切れのいいビールに仕上げる〜
2回目の注ぎ方その2です。
グラスを45度程度に傾けて瓶、缶をグラスに出来る限り近づけます。
そして、グラスと泡の間にスルスルと静かにビールを流し込みます。
※1つ目の画像(左上)を見ると泡とグラスの間にビールが流れるのが見えますね!
→出来る限りショックを与えないことで、ビールの炭酸が逃げず、泡を通さないことで、苦み成分をすべて直接流し込むこととなり、キレ、喉越し、苦味等が引き立ちます。
泡が少ないときは少しだけ泡の上から流し込みと量を調整できます(^^♪
3回目は2度目と同様の調整をしながら泡と液体の量を調整します。
例1)最終的にふわふわ泡のモルトキャラクターを目指すならなら
①-1→②-1→最後も②-1同様、泡の上からビールを注いで仕上げる。
例2)最終的にクリーミーでキレ&ビター仕上げなら
①-2→②-2→3回目も②-2同様、泡の脇から注ぎ入れる。
例3)1回目はふわふわ泡の①-1→2回目は炭酸、ビター感を残して②-2→3回目も②-2で仕上げると炭酸が抜けにくくなるので
おすすめの組み合わせです(^^♪
1、2回目の注ぎ方が一番キャラクターに影響するので、3回目は微調整というイメージです。
あとは黄金比率の7対3を目指して思い切って注ぎ切りましょう!
左側が①-1、②-1,仕上げも②-1方式で決めた金しゃちビール ピルスナー。
右側が①-2、②-2、仕上げも②-2方式で決めた金しゃちビール アルト。
定番の3度注ぎを、掘り下げてご紹介いたしましたが、いがかだったでしょうか。
ビールはとても繊細な分、注ぎ方一つでいくつもの楽しみ方ができるということがお分かりいただけましたでしょうか!
レストランスタッフ時代、カウンター越しにお客様に「どんなテイストのビールが好きですか?」
とお聞きして、実際に変化を楽しんでいただくのが得意でした ^^) _旦
是非皆さんも注ぎ方の技を身に着けて、楽しいビールライフをお過ごしください!!